2017年1月1日日曜日

★鳥も人もいない千波湖 - 鳥インフルエンザ騒動

ひと昔前までは水戸といえば水戸黄門だった。時代劇の視聴率低迷でシリーズ終了となってからは、日本三名園の1つ、偕楽園だろうか。100種3000本の梅が咲く梅園として有名で、毎年2月から3月に行われている「水戸の梅まつり」は、おそらく水戸の観光イベントとして最大のものである。

もともと水戸市内の観光名所といえば偕楽園だった。現在では偕楽園公園は、広義において常磐線を挟んで好文橋までの一帯を言う。偕楽園本園の展望スペースや好文亭からそれを見渡せる。南東方面に広がる水面は千波湖で、市内では水鳥の集まる聖域としても知られる。千波湖ホームページ

2016年11月末に、水戸市西部にある大塚池で、死んでいたオオハクチョウから鳥インフルエンザウィルスが検出された。大塚池から千波湖までは5km程度しかなく、野鳥はこの2つの湖沼を往き来している。程なく千波湖にも波及した。千波湖に集まる野鳥数は、大塚池の比ではない。故にその感染確率も高く、死骸数十体から鳥インフルエンザが検出されるまでに至る。最初は飛来したオオハクチョウで、やがて定住性のコブハクチョウで広まる。さらにはカイツブリやコクチョウまで斃れる惨事になっている。

茨城県で回収された死亡野鳥における鳥インフルエンザ検査実施状況について(随時更新)

インフルエンザの広まりを最も恐れているのは養鶏業者だろう。密集状態で飼育されているから、1羽でも感染してしまえば爆発的に広がる可能性が高い。茨城産の卵や鶏肉のブランドイメージも壊れ、壊滅的な打撃となりかねない。そのために自治体は様々な対策を行っている。

私も12月末に千波湖を散歩して様子を見てきた。まず驚いたのは、野鳥の少なさである。

もともと千波湖では自治体でハクチョウとコクチョウに対しては餌付けを行っている。(※他都市からの親善で譲り受けたため実際には外来種。繁殖目的での餌付けが公式になされている。つまり自治体による餌付けは、本来はコクチョウとコブハクチョウのため。)一般市民や観光客の餌付けは禁止されているのだが、それも事実上はないようなもの。訪れる客の数も多く、野鳥にとっては一年を通じて豊富な餌場である。特に偕楽園に近い側の好文カフェの周辺には、相当な数の野鳥が集まっているものだが…。

それがどうだ、まるで野鳥が居やしない。人も少ない。冬場の休日、しかもよく晴れた千波湖で、こんなに鳥も人も居ない風景は初めてだ。

周回するジョギングコース上の湖畔出入口のポイント数カ所に、感染予防の石灰が撒かれている。野鳥への餌付けや接触を禁止する看板がいたるところに立てたれている。鳥だけなくヒトを介しての感染防止対策を行なっているとはいえ、この状態は誰の目から見ても明らかに異常である。観光客はもちろん、普段から千波湖を訪れる一般市民の足も遠のくだろう。

湖畔の展望喫茶店である好文カフェは、「風評被害」があったとして、1ヶ月間休業することにしたらしい。先述の通り、確かに鳥インフルエンザで人が死んだ例は報告されてない。しかし、今回客が来ないことが「風評被害」と言えるかは疑問だ。人を介しての感染可能性があるから鳥と接触するなということなのだし、ジョギングコースに石灰が撒かれているのも人が感染源である鳥のフンを踏んづけて運ばないようにするための措置だ。人媒介の感染を防ぐ最良の方法は、人が千波湖に来ないことである。訪れない人々が賢明なのだ。

現状はこんなものである。だからどうだ、ということではないのだが、水戸市民としては気になる事件なので、市民目線でまとめてみた。インフルエンザは、だいたい気温5度以下のシーズンになると流行しやすくなる。空気中の水分が失われ、絶対湿度が少なくなると繁殖しやすくなるのだ。(絶対水分 10g/m^3 以上を保つとウィルスは10時間でほぼ死滅する。)冬はまだ始まったばかりだ。3月くらいまで予断を許さぬ状況が続くだろう。

それにしても、災難なのは鳥たちだ。野鳥たちは、餌の少なさに移動を余儀なくされている。もともと野生なのだから、餌付けがなくなったからといってかわいそうということはないという意見もわかる。しかし、ここにバードサンクチュアリを作ったのは、私たちだ。養鶏業者に被害が出るのを防ぐためとはいえ、さんざん観光業に野鳥を利用しておいて、まして餌の確保の困難な厳冬期に、この仕打ちもなかろうと思う。

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