2017年8月18日金曜日

自分たちが掲げる憲法草案すら守れない自民党

2017622日、野党は両院で臨時国会の開催要求書を提出した。これを受けて、内閣は日本国憲法第53条にしたがい臨時国会を召集しなければならない。だが、627日の与野党国対委員長の会談で、自民国対委員長の竹下氏は「安倍晋三首相は加計問題について追及されることを嫌がっている」と述べて要求を拒否した。呆れたものだ。拒否すること自体も憲法違反だが、その理由が全く正当ではない。憲法遵守義務のある内閣総理大臣としてはもちろんだが、国会軽視の姿勢はいち国会議員としても失格だろう。 

ところで、ご存知の通り自民党は憲法改正草案を掲げている。いま掲げているのは2012年に発表したもので、自民党憲法改正推進本部のサイトでダウンロードすることができる。草案第53条にも臨時国会要求と召集義務が規定されている。前段は日本国憲法とほぼ同じだが、加えて後段には期限が定められている。「内閣は、臨時国会の召集を決定することができる。いずれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があったときは、要求があった日から二十日以内に臨時国会が召集されなければならない。」

さらに同サイトで配布している自民党憲法改正草案QAではこう説明されている。「臨時国会の召集期限については規定がなかったので、今回の草案では、『要求があった日から 20 日以内に臨時国会が召集されなければならない』と、規定しました。党内議論の中では、『少数会派の乱用が心配ではないか』との意見もありましたが、『臨時国会の召集要求権を少数者の権利として定めた以上、きちんと召集されるのは当然である』という意見が、大勢でした。」(自民党憲法改正草案QA22頁)

なんと素晴らしいではないか。国民主権の制限、基本的人権の制限、平和主義からの離脱などのような憲法改悪は困るが、少数意見をさらに大切しようという改正であれば私は歓迎である。このような素晴らしい理念を掲げておきながらの要求拒否はどういうわけだろうか。 

自民党は改憲政党である。改憲を提案するということは、当たり前だが自分たちはそれを守るということであろう。それなのに今回の件はどういうことだ。自民党は自分たちが守れぬものを国民に提案しているのか。それは自分たちの草案の価値を貶めるものだ。

改憲原案提出のため秋に臨時国会召集との話も出てきたようだ。改憲原案は自民党憲法草案とは別のものになるのだろう。しかし、彼らは自らの草案の期限を大幅に過ぎてから召集した臨時国会で、改憲原案を提出することになる。そんな政党が出した改憲原案など誰が相手にするのか。国民を愚弄しているとしか思えない。

私は以前に『安倍内閣が参照する「憲法」は、自民党憲法草案ではないか?と題して述べたことがある。あれは間違っていたようだ。安倍政権は、日本国憲法はおろか自民党憲法草案も参照していない。彼らが目指しているのは「法の支配」ではない。「人の支配」すなわち「独裁」である。一刻も早く打倒しなければ。

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